あまや座

茨城県那珂市瓜連あるミニシアター

『シラート』2026/7/4(土)〜7/17(金)

『シラート』

【上映日程】 ※水曜定休日

7/4(土)14:20〜16:25
7/5(日)〜7/10(金)13:50〜15:55
7/11(土)〜7/17(金)12:00〜14:05

※上映時刻が変更になる場合があります。ご来館前にご確認ください。
ご予約システムは2週間くらい前から可能となります。

失踪した娘を捜すため砂漠のレイブパーティに参加した父と息子の旅の行方を、奇想天外なストーリーとクールなダンスミュージックを融合させて描き、本国スペインをはじめヨーロッパ各国で話題を集めたロードムービー。

ルイスは砂漠でのレイブパーティに参加したまま行方がわからなくなった娘を捜すため、息子エステバンとともにモロッコの山岳地帯から砂漠の奥地へと車を走らせる。やがて彼らは現実と幻覚が混濁するような野外レイブ会場にたどり着くが、そこにはすでに娘の姿はなかった。父子はレイブの参加者グループを追い、娘が向かったと思われる次のレイブ会場を目指すが……。

父ルイス役に「パンズ・ラビリンス」のセルジ・ロペス。「ファイアー・ウィル・カム」のオリベル・ラシェが監督・脚本を手がけ、製作にはスペインを代表する名匠ペドロ・アルモドバルが名を連ねた。タイトルの「シラート」はアラビア語で「道」を意味し、宗教的な意味においては審判の日に天国と地獄の上に架けられる細い橋を象徴するとされる。2025年・第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、審査員賞など4冠に輝いた。第98回アカデミー賞では国際長編映画賞と音響賞にノミネート。

【出演】セルジ・ロペス、ブルーノ・ヌニェス・アルホナ
【監督】オリベル・ラシェ

2025年製作/115分/PG12/スペイン・フランス合作
原題または英題:Sirāt
配給:トランスフォーマー

公式HP https://transformer.co.jp/m/sirat/

© 2025 LOS DESERTORES FILMS, A.I.E., TELEFÓNICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.,
FILMES DA ERMIDA, S.L., EL DESEO DA, S.L.U., URI FILMS, S.L., 4A4 PRODUCTIONS

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. 『シラート』は、劇場で〝体感〟すべき映画だ。

    映画冒頭から、ズンズンとウーファーのド低音が腹に響く。座席が微かに振動し、身体の芯まで音が染み渡るような没入感は、ただのBGMではなく、観客自身をレイヴの渦に引きずり込むためのものだ。Dolby Atmosなどの劇場音響でこそ真価を発揮する作品で、家での視聴では絶対に味わえない「身体で観る」体験が待っている。

    ロードムービーに属するだろうけど、画面に映るのは果てしない砂漠だけ。モロッコの山岳地帯からサハラの奥地へ。文明の気配は薄れ、灼熱の大地と空、夜の闇と星空、そして赤く脈打つ照明だけが支配する世界。そこにクールで中毒的なダンスミュージックが重なり、現実と幻覚の境界が曖昧になる。監督のオリベル・ラシェは、奇想天外な展開を極上の映像美と音で包み込み、観る者を圧倒する。

    この映画はレイヴパーティーが行われているけど、ラジオからは第三次世界大戦が始まりそうなニュースが流れる。登場人物の誰ひとり、スマホも携帯電話も持っていない。現代社会のつながりを一切断ち、砂漠という原始的な空間で人間の極限が試される。父ルイスと息子エステバンが失踪した娘を探す旅は、単なる捜索ではなく、運命の「道」(シラート=審判の日に天国と地獄を繋ぐ細い橋)を渡るような、寓話的な深みを持つ。

    そして、崖から大切な人が落ちて命を失う。更に地雷原に迷い込んでしまい、次々と登場人物達が命を失う。予測不能の残酷さと、容赦ない現実が突きつけられる。奇跡は起きず、希望は脆く砕け散る。それでも、音楽は鳴り続け、生き残った者たちは前に進む。レイヴの恍惚、家族の絆、戦争の影、死の予感——すべてが混ざり合い、観客の胸に重く残る。

    この映画は何を伝えたかったのか?観客が考える余白が残る。明確な答えを提示せず、むしろ問いを投げかける姿勢が強い。現代の混沌の中で、私たちは何を求め、何を失いながら生きているのか。砂漠の果てに浮かぶ「シラート」の象徴性は、宗教的・哲学的な解釈を誘うが、押しつけがましくない。カンヌで高く評価され、アカデミー賞にもノミネートされた理由がわかる、唯一無二の衝撃体験だ。

    劇場で音と映像に身を委ね、終わった後に余韻に浸る——そんな贅沢をぜひ味わってほしい一本です。

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